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【報告】台湾での人工巣塔設置候補地を調査し、コウノトリ保全シンポジウムに参加してきました。

  • 8 時間前
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6月12日(金) 【台湾での人工巣塔設置候補地を調査し、コウノトリ保全シンポジウムに参加してきました。】

〇参加者:佐竹代表 菊地顧問 森監事 永瀬  私たち日本コウノトリの会は、多くの人々と連携しながら国内のみならず東アジアのかつてのコウノトリ生息地を回復させることを目指しています。これまで、韓国の市民団体「コウノトリ愛の会中央会」との共同で2023年に長崎県・対馬市に、2025年3月には韓国全北特別自治道群山市(セマングム)に人工巣塔を設置してきました。

 次の一歩として、「台湾での人工巣塔の設置・繁殖」を目標に掲げています。台南市では、日本統治時代に八田與一技師が荒れた農地を大規模なダム建設と灌漑用水事業を実施されて、広大な農地・嘉南大圳(かなんたいしゅう)となり、現在も農業が豊かに営まれています。そのため、現地では八田氏への感謝の念が強く、毎年慰霊祭が行われるなど、土木業界を中心に日本との交流が続いています。そこで、当会は嘉南大圳に巣塔を建立し、「コウノトリ」を通して「環境」「共生」という新たな視点が生まれることを目指したいと考えました。

 今春には台湾中部・雲林県の濁水渓(だくすいけい)近辺において台湾初のコウノトリの繁殖(3羽のヒナが巣立ち)があり、一気にコウノトリへの関心が高まっていて、タイミングとしても好機と言えます。


 今回の現地踏査は、現地で保全や環境教育に精力的に取り組まれている「蛙趣自然生態顧問有限公司」の莊孟憲さん、台湾大学大学院生時代にハチゴロウの戸島湿地でインターン活動経験があり当会との交流が続く「雄本老屋」の蕭定雄さんの全面的なご協力を得て、実現いたしました。


〇6月7日

 高雄国際空港に到着し、莊孟憲さんが温かく出迎えてくださいました。 そこから鉄道で台南駅へと移動。その日の夜に、蕭定雄さんも加わって翌日からの踏査についてミーティングを行いました。

〇6月8日:台南市での現地踏査

① 八田與一氏関連施設の見学

 まず訪れたのは、八田與一氏が監督・建設された「烏山頭ダム」です。農田水利署嘉南管理処の陳さんに詳しく案内していただき、烏山頭ダムの規模の大きさと嘉南大圳が支える規模の大きさ、そしてその歴史を学びました。当日は梅雨のために土砂降りでしたが、この時期にダムに水を溜めておくのだそうです。ここでは、単なる土木技術の歴史だけでなく、「水のつながりが農産物と生き物を同時に育んでいる」という考えが受け継がれていました。実際、周辺地域では絶滅危惧種である水鳥「レンカク(雉尾水雉)」との共生が進んでおり、ヒシ(菱角)栽培を行う農業と、レンカクの保護活動が地域に根付いています。



② 台南市政府農業局と交流

 台南市政府農業局の呉副局長と挨拶を交わしました。行政側からもコウノトリに対する前向きな姿勢が確認できました。

③ 巣塔設置候補地の調査と選定

 来年の人工巣塔の設置を見据え、徳元埤(とくげんぴ)での施設用地、民有地、水田(耿爸農場の王莨耿さん所有地)の7カ所を現地踏査し、周辺の水辺等コウノトリの生息環境、巣塔設置の可能性等を調査・議論しました。7カ所はすべて荘さんが事前調査と関係者の調整を行われていたので、スムーズに実施できました。感謝です。




〇6月9日:雲林県濁水渓での営巣地視察と「日台コウノトリ保全シンポジウム」参加

※台南市からは車で約2時間半

① 台湾での営巣現場視察

 濁水渓近くの営巣場所では、水利署第四河川分署長の張朝恭さんや、麥仔簝文化協会代表の呉明宜さんをはじめ、実に多くの方々に現地を案内していただきました。

 残念ながらコウノトリに出会うことはできませんでしたが、巣とその周辺の様子を見て回ることができました。台湾で営巣が確認されたのは送電鉄塔の上で、鉄塔を管理する電力会社が繁殖できるようにされたとのです。また、このコウノトリの繁殖をきっかけに、周辺の田んぼでは環境共生型の農法への切り替えが進んでいるとのことでした。

 現地踏査後、昼食会場では雲林県の陳璧君副県長も駆けつけてくださり、和やかに挨拶を交わしました。

② 「日台保全共生地とコウノトリ保全シンポジウム」の開催

午後からは、麦寮郷立生活美学館にてシンポジウムが開催されました。

主催:林業及自然保育署南投分署

共催:水利署第四河川分署、農業部生物多様性研究所、雲林県政府農業処、麥仔簝文化協会、蛙趣自然生態顧問有限公司、日本コウノトリの会


 シンポジウムでは、当会より代表の佐竹節夫と、菊地直樹顧問(金沢大学 先端観光科学研究所 教授)の2名が講演を行いました。


講演①:佐竹節夫代表

 兵庫県豊岡市で長年積み重ねてきたコウノトリ野生復帰事業の歩みを紹介。人工巣塔の設置や、生き物を育む農法、行政や住民を巻き込んだ地域づくりのプロセスについて語りました。

講演②:菊地直樹顧問

 自身のこれまでの研究と石川県での実践を踏まえた環境社会学の講演を行い、日本コウノトリの会として社会学的面からのアプローチについてお話しされ、当会と台湾の皆さんと活動を進めることを語られました。

 台湾側からは、国立屏東科技大学の孫元勳教授より、台湾におけるこれまでのコウノトリのデータと今後の生態研究の展望が語られたほか、国連の枠組みに合わせた台湾版「OECMs(保全共生地)」の計画推進現状と、協力ネットワーク拡大の展望についての報告がなされました。

 最終的には、コウノトリを核とした持続可能な社会構築と日台の連携について強く確認し合いました。多くの機関や団体が参画し、地域住民の皆様も多数参加されました。

 現地メディアでも報道されるなど、コウノトリに対する現地の関心と注目の高さがうかがえました。https://japan.focustaiwan.tw/society/202606100011

 また、佐竹代表、菊地顧問は現地のTV会社よりインタビューを受けました。

〇 巣塔設置希望場所の内定

 候補地を見て回った結果、当会の4人と台湾の2人は全員が「王さんの田んぼ周辺(耿爸農場)を希望する」ことで一致しました。これから土地所有者の承諾依頼、地域の合意形成を始め、巣塔設置の手続きや巣台製造等に進んでいくため、現地の皆さんと緊密に連絡を取り合っていくことが必要です。

〇 政府機関、行政、民間企業、NGOとの交流

 台南市政府、雲林県政府、水利署、林業署、そして地域NGOや民間の電力会社の皆様と、コウノトリを核とした交流を行いました。何より、現地で出会った皆様の輝いた目が深く印象に残っています。

〇 感謝

 最後になりますが、今回の実りある踏査とシンポジウムの成功は、台湾のすべての関係者の皆様のご尽力なしにはあり得ませんでした。お会いした全ての方から温かい思いやりをいただきました。

 特に、全行程にわたり密着してコーディネートしてくださった莊孟憲さん、蕭定雄さんには、多大なるご尽力をいただきました。深く感謝申し上げます。

 また、通訳の陳彥翎さんには日台のコミュニケーションを円滑に進めていただきました。ありがとうございました。


これからの人工巣塔の設置に向けて、これからも緊密に連携を取り合ってまいります。


台湾の皆様、本当にありがとうございました。

これからも共に歩んでいきましょう!

 
 
 

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